投資キャッシュフローとは?意味や含まれる項目、分析の仕方までわかりやすく解説!

今回は投資キャッシュフローについて。

財務諸表におけるキャッシュフロー計算書には、

の3つのキャッシュフローがあります。

今回はその中で企業の投資活動におけるキャッシュフロー=投資キャッシュフローについて解説していきます。

「投資キャッシュフローはプラス・マイナスどっちの方がいいの?」

「どこに注目して見ればいいの?」

こういった疑問を1個ずつ解消して、投資キャッシュフローを人に説明出来るレベルで理解しましょう!

投資キャッシュフローとは?

キャッシュフローとは、つまり現金(キャッシュ)の流れ(フロー)のことです。

投資キャッシュフローは企業の投資活動における現金の流れを表しています。

投資キャッシュフローは

  • 企業が将来の事業拡大や、利益獲得のために設備投資をして、工場やオフィスを増やす
  • 他の企業に対して投資する
  • 企業を買収する
  • 保有している設備で不必要になった固定資産を売却する

このようなことでプラスになったり、マイナスになったりします。

投資キャッシュフローでは、企業が将来の事業維持・拡大に向けてどのような投資をしているか?

また、過去の投資から現在どのような成果をあげているか、を確認することが出来ます。

投資キャッシュフローの主な項目は?

投資キャッシュフローの主な項目を一覧にすると

  • 有形固定資産の取得・売却
  • 無形固定資産の取得・売却
  • 有価証券の取得・売却
  • 投資有価証券の取得・売却
  • 資金の貸付・回収

他にもありますが、主な項目はこんな感じです。

投資キャッシュフローのメインは、固定資産の取得や売却ですね。

取得する場合はキャッシュ(現金)が減少し、売却する場合はキャッシュ(現金)が増加します。

項目だけではわかりにくいので、1つずつ詳細を確認します。

「もう項目は理解しているよ」って方はここは飛ばしてくださいね(笑)

有形固定資産の取得・売却

有形固定資産は会社を運営するために必要な建物・工場・車などのことで、形があって、見て触れるものです。

有形固定資産の取得・売却とは、それらの建物や工場、車などを売却したり、取得することを指しています。

無形固定資産の取得・売却

無形固定資産は、文字通り形のない固定資産なので、商標権や特許権などの権利関係のことです。

無形固定資産の取得・売却とは、これらの特許権などを取得したり、売却したりすることを指しています。

有価証券の取得・売却

証券とは財産に関する権利や義務を表す紙面のことです。

この証券のなかでも、証券そのものに価値があるのが有価証券です。

会計上の有価証券は、国債証券・社債券・株券などのことです。

有価証券の取得・売却とは、これらの国債証券・株券などを取得したり・売却することを指しています。

投資有価証券の取得・売却

「投資有価証券と有価証券は何が違うの?」

と思いませんか?(笑)

その違いを簡単にいうと、短期所有目的なのか?長期所有目的なのか?の違いです。

短期所有目的ならば、有価証券。

長期所有目的であれば、投資有価証券、と考えるとわかりやすいです。

資金の貸付・回収

資金の貸付・回収はわかりやすいですね!

他の企業などにお金を貸すのが貸付。

貸していたお金を返してもらうのが回収です。

貸付金には2種類あります。

1年以上の貸付を行う長期貸付金と1年以内の短期貸付金の2つです。

お金を貸すのだから、返してもらうまでは現金は減ります。

よって貸付の場合は、投資キャッシュフローのマイナス要因。

お金(現金)を返してもらうので、回収する場合は現金が増えます。

なので、回収は投資キャッシュフローのプラスの要因です。

注意点

項目はこんな感じです。

基本的には有形固定資産の取得・売却がメインですが、取得・売却において1つ注意点があります。

それは将来の投資のために、設備を購入した場合、購入金額すべてが今期の投資キャッシュフローに計上されるわけではない点です。

購入のために今期支払った金額のみが投資キャッシュフローに計上されます。

なので、まだ支払っていない額は今期の投資キャッシュフローには計上されないのです。

同様に、建物を売却した場合も実際に入金があったものだけが今期の投資キャッシュフローに計上されます。

なぜこうなるかというと、利益と違ってキャッシュフローは現金の流れなので実際にその期間で現金の動きがあるものだけを計上する必要があるからです。

特許権などの無形固定資産なども支払いを分割している場合も同様に当てはまります。

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投資キャッシュフローの分析はどうすべき??

経営が順調ならば、投資キャッシュフローはマイナスになる企業が多いです。

経営が順調=本業の調子がいいと、本業で稼ぐ現金である営業キャッシュフローが大きくプラスになります。

営業キャッシュフローが大きくプラスということは、現金に余裕があるということ。

現金に余裕があれば、将来の利益獲得力アップのための投資に多くのお金を掛けられます。

  • 今の事業を強化し、生産性を高められるような設備に投資
  • 新規事業に乗り出すための投資
  • M&Aで企業を買収して会社を大きくするための投資

これらに多額の投資をすることが出来ます。

なので、将来を見据え、多額の投資をしている企業の投資キャッシュフローはマイナスになります。

投資の費用は現金で払いますよね?

だから現金の量はマイナスになるのです。

そのため、投資キャッシュフローがマイナスの場合は、基本的にはポジティブに捉えていいと思います。

逆に将来のための投資を全く行わなければ投資キャッシュフローは0かプラスになります。

でも、それは投資出来るほど資金に余裕がない。

あるいは子会社を売却したり、設備や不動産の売却で得た収入であったりして、資金繰りに苦しんでいる場合が多いです。

このように投資キャッシュフローがプラスの場合はネガティブな印象を投資家に与えてかねません。

もちろん必要のなくなった子会社や工場を売却する場合など例外もあります。

投資キャッシュフローはバランスが大事!

このように投資キャッシュフローがマイナスであることに問題はありません。

むしろポジティブな要因です。

ただバランスが非常に大事なので、投資キャッシュフローがマイナスになればなるほど良いわけではありません。

そこは注意しましょう!

あくまで将来の大きな収益を生み出すために投資をしているので、いずれ投資した金額を上回る現金を回収する必要がある。

このことは頭にしっかり入れておきましょう。

安定した経営を目指すのであれば、営業キャッシュフローで生み出したプラスの範囲内で投資を行います。

こうすれば、現金が少なくなって資金繰りに苦しむ可能性は低いです。

一方でベンチャー企業などで成長スピードを重視するなら、将来のための先行投資に多額の費用を掛ける必要があります。

その場合は、営業キャッシュフローのプラスよりも投資キャッシュフローのマイナスの方が大幅に大きくなることもよくあります。

投資キャッシュフローの適正値というのはその会社の将来に向けての戦略によって全然変わってきます。

そのため、その企業の経営状態や戦略を把握するためにはなかなか1年分だけのキャッシュフロー計算書を見てもわからないことが多いです。

経営状態をある程度正確に把握するために、過去5年分のキャッシュフロー計算書を分析しましょう!

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