定款認証とは?意味や把握すべき観点をわかりやすく解説!

会社を設立する際に避けて通れない手続きの一つが「定款認証」です。

しかし、「定款認証って何?」「なぜ必要なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、これから起業を考えているビジネスパーソンに向けて、定款認証の意味や必要性、手続きの流れ、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

目次

定款認証とは?基本的な意味

定款認証(ていかんにんしょう)とは、会社の「定款(ていかん)」が正式に作成されたことを、公証人(こうしょうにん)という法律の専門家に証明してもらう手続きのことです。

まず、定款について説明しましょう。

定款とは、会社の「憲法」や「ルールブック」のようなもので、会社の基本的な情報や運営方法を定めた書類です。

具体的には、会社名、所在地、事業内容、資本金の額、株式に関する事項、経営の仕組みなどが記載されます。

この定款が本物であり、適法に作成されたことを公的に証明してもらうのが「認証」という手続きです。

公証人は法務大臣が任命する公務員で、全国の公証役場(こうしょうやくば)に配置されています。

なぜ定款認証が必要なのか?

定款認証が必要な理由は、主に以下の3つです。

1. 会社の信頼性を担保するため

定款は会社の最も基本的なルールを定めたものです。

この内容が正確で、法律に適合していることを第三者である公証人が確認することで、会社の信頼性が高まります。

取引先や金融機関も安心して取引できるようになります。

2. 後日のトラブルを防止するため

定款の内容について、後から「そんな内容は知らなかった」「勝手に変更された」といったトラブルが起きないよう、公証人という中立的な立場の専門家が関与することで、紛争の予防につながります。

3. 法律で義務付けられているため

会社法という法律により、株式会社を設立する場合は定款認証を受けることが義務付けられています。

認証を受けていない定款では、会社の設立登記(会社として正式に登録する手続き)ができません。

定款認証が必要な会社、不要な会社

ここで重要なポイントがあります。

実は、すべての会社で定款認証が必要なわけではありません

会社形態によって、定款認証の要否が大きく異なります。

定款認証が必要な会社

株式会社のみが定款認証を必要とします。

株式会社は資金調達の柔軟性が高く、社会的信用も大きい反面、設立時に公証人による定款認証を受けることが会社法で義務付けられています。

定款認証が不要な会社

以下の会社形態では、定款認証は不要です。

定款を作成するだけで設立手続きを進められます。

  • 合同会社(ごうどうがいしゃ):近年人気の会社形態。設立費用が安く、経営の自由度も高い
  • 合名会社(ごうめいがいしゃ):無限責任社員のみで構成される会社
  • 合資会社(ごうしがいしゃ):無限責任社員と有限責任社員で構成される会社

費用面での違い

定款認証の有無は、設立費用に直接影響します。

株式会社では定款認証に約5万円の手数料と、紙の定款の場合は収入印紙代4万円が必要です。

一方、合同会社ではこれらの費用が一切かかりません。

そのため、合同会社の設立費用(約6万円〜10万円)は、株式会社の設立費用(約20万円〜25万円)より大幅に安くなります。

定款認証の手続きの流れ

株式会社を設立する際の定款認証の流れを、ステップごとに見ていきましょう。

ステップ1:定款を作成する

まず、会社の定款を作成します。

定款には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項(ぜったいてききさいじこう)」があります。

絶対的記載事項

  • 会社の目的(どんな事業を行うか)
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地(会社の住所)
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(資本金)
  • 発起人の氏名または名称および住所(会社を設立する人の情報)

これらが一つでも欠けていると、定款として無効になってしまいます。

その他にも、任意で記載できる事項がたくさんありますが、専門的な知識が必要なため、司法書士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

ステップ2:公証役場に事前相談する

定款の原案ができたら、認証を受ける公証役場に事前に連絡し、定款の内容をチェックしてもらいます。

公証役場は、会社の本店所在地と同じ都道府県内にある公証役場であればどこでも構いません。

事前相談では、記載内容に法的な問題がないか、記載漏れがないかなどを確認してもらえます。

この段階で修正すべき点があれば指摘してもらえるので、必ず事前相談を行いましょう。

ステップ3:定款認証の予約をする

内容が固まったら、公証役場に認証の予約を取ります。

最近では電話やメールで予約できる公証役場が増えています。

ステップ4:必要書類を準備する

認証当日までに、以下の書類を準備します。

  • 定款3通(原本、会社保存用、登記申請用)
  • 発起人全員の印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)
  • 発起人の実印(本人が行く場合)
  • 委任状(代理人が行く場合)
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 認証手数料(現金または収入印紙)

ステップ5:公証役場で認証を受ける

予約した日時に公証役場に行き、公証人の前で定款認証の手続きを行います。

公証人が内容を確認し、問題がなければ定款に認証文を付け、公証人の署名・押印をしてもらいます。

これで定款認証は完了です。

認証された定款は、会社設立登記の際に法務局に提出します。

定款認証にかかる費用

定款認証には、以下の費用がかかります。

公証人手数料:約5万円

定款認証の手数料は法律で決まっており、資本金の額によって異なります。

  • 資本金100万円未満:3万円
  • 資本金100万円以上300万円未満:4万円
  • 資本金300万円以上:5万円

定款の謄本(とうほん)代:約2,000円

謄本とは、原本の写しのことです。

1ページあたり250円程度で、定款が8ページ程度であれば約2,000円かかります。

収入印紙代:4万円(紙の定款の場合)

紙で定款を作成する場合、4万円分の収入印紙を貼る必要があります。

ただし、電子定款(でんしていかん)という電子ファイル形式で定款を作成する場合は、この4万円が不要になります。

つまり、電子定款を利用すれば、紙の定款より4万円安く済みます。

合計費用

  • 紙の定款の場合:約9万2,000円
  • 電子定款の場合:約5万2,000円

これに株式会社の設立登記にかかる登録免許税(最低15万円)を加えると、株式会社の設立には最低でも約20万円以上の費用が必要になります。

電子定款とは?メリットと注意点

近年、多くの起業家が利用しているのが電子定款です。

電子定款とは

電子定款とは、紙ではなく電子ファイル(PDF形式)で作成した定款のことです。

電子署名を付けて、インターネット経由またはCD-Rなどの記録媒体で公証役場に提出します。

電子定款のメリット

最大のメリットは、収入印紙代4万円が不要になることです。

電子文書には印紙税がかからないため、大幅なコスト削減になります。

電子定款の注意点

電子定款を自分で作成するには、以下の設備やソフトウェアが必要です。

  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダー
  • 電子署名用のソフトウェア(Adobe Acrobat Pro DCなど)

これらを揃えるには数万円かかるため、1回だけの利用であれば必ずしも得とは限りません。

そのため、多くの方は司法書士や行政書士に依頼して電子定款を作成してもらっています。

専門家に依頼しても、収入印紙代4万円が浮くため、トータルでは費用を抑えられることが多いです。

定款認証で把握すべき重要なポイント

定款認証を受ける際に、特に注意すべきポイントをまとめました。

1. 定款の内容は慎重に検討する

定款は会社の基本ルールです。

後から変更することもできますが、変更には株主総会の特別決議(議決権の3分の2以上の賛成)が必要で、登記事項を変更する場合は登記費用もかかります。

特に以下の項目は慎重に検討しましょう。

  • 事業目的:将来行う可能性のある事業も含めて、幅広く記載しておくことをおすすめします。ただし、あまりに多すぎると焦点がぼやけるので、バランスが重要です。
  • 資本金の額:一度決めた資本金は簡単には変更できません。事業の規模や必要な運転資金を考慮して決めましょう。
  • 株式の譲渡制限:中小企業の多くは、株式を自由に売買できないようにする「譲渡制限」を設けています。これにより、望まない第三者が株主になることを防げます。
  • 役員の任期:法律上、取締役の任期は最長10年まで設定できます。任期が短いと頻繁に登記が必要になるため、小規模な会社では長めに設定することが多いです。

2. 発起人の人数と役割を理解する

発起人(ほっきにん)とは、会社設立の企画者として定款に署名(または記名押印)する人のことです。

発起人は必ず1株以上の株式を引き受ける必要があります。

発起人は1人でも複数人でも構いませんが、全員が定款認証の手続きに関与する必要があります(印鑑証明書の提出など)。

信頼できる人だけを発起人にすることが重要です。

3. 認証には期限がある

定款認証を受けた後、設立登記を行うまでの期限は法律で定められていません。

しかし、実務上は認証後なるべく早く(通常3か月以内)に設立登記を行うことが推奨されます。

あまりに時間が経つと、記載内容が実態と合わなくなる可能性があるためです。

4. 公証役場の管轄に注意

定款認証を受けられるのは、会社の本店所在地と同じ都道府県内にある公証役場のみです。

例えば、東京都に会社を設立する場合、東京都内の公証役場で認証を受ける必要があります。

全国どこの公証役場でも良いわけではないので注意しましょう。

5. 認証後の定款の取り扱い

認証を受けた定款は、会社の重要書類として大切に保管する必要があります。

  • 原本:公証役場に保管されます(20年間)
  • 会社保存用の謄本:会社で保管します
  • 登記申請用の謄本:法務局に提出します

会社保存用の謄本は、銀行口座開設や許認可申請などで提出を求められることがあるため、必ず会社に保管しておきましょう。

専門家に依頼するメリット

定款の作成や認証手続きは、自分で行うこともできますが、専門家に依頼するメリットも大きいです。

司法書士や行政書士に依頼するメリット

  • 法的に適切な定款を作成できる:法律の専門知識がないと、後々トラブルになる条項を入れてしまう可能性があります
  • 電子定款で4万円節約できる:専門家は電子定款に対応しているため、収入印紙代を節約できます
  • 時間と手間を節約できる:書類の準備や公証役場とのやり取りを代行してもらえます
  • 設立登記までトータルでサポートしてもらえる:定款認証だけでなく、その後の設立登記まで一貫して依頼できます

費用相場

司法書士や行政書士に定款作成・認証を依頼する場合の費用相場は、3万円〜5万円程度です。

電子定款を利用すれば収入印紙代4万円が浮くため、実質的な負担増は少なく済みます。

よくある質問

Q1. 定款認証は必ず本人が行く必要がありますか?

いいえ、代理人でも可能です。

発起人の実印を押した委任状があれば、司法書士や行政書士、あるいは家族などの代理人が手続きを行えます。

Q2. 認証を受けた定款の内容を後から変更できますか?

はい、変更できます。

ただし、株主総会の特別決議が必要で、定款に記載された事項のうち登記事項については法務局での変更登記も必要です。

変更登記には登録免許税(最低3万円)がかかります。

Q3. 合同会社から株式会社に変更する場合、定款認証は必要ですか?

はい、必要です。

合同会社として設立した後に株式会社に組織変更する場合、新たに株式会社の定款を作成し、定款認証を受ける必要があります。

まとめ

定款認証は、株式会社を設立する際の必須手続きであり、会社の信頼性を担保し、将来のトラブルを防ぐ重要な役割を果たします。

押さえておくべきポイント

  • 定款認証は株式会社のみ必須(合同会社は不要)
  • 費用は紙の定款で約9万円、電子定款で約5万円
  • 定款の内容は会社の根幹を定めるため慎重に検討する
  • 電子定款を利用すれば4万円節約できる
  • 専門家に依頼することで適切な定款を作成し、手間も省ける

起業は人生の大きな決断です。

定款認証という手続きについてしっかり理解し、必要に応じて司法書士や行政書士などの専門家の力を借りながら、確実に会社設立を進めていきましょう。

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