今回は問題解決のフレームワークである「空・雨・傘」について!
- 「事実と解釈を混ぜるな!」
- 「で?結局どうすればいいの?」
上司や顧客からこんなことを言われることはありませんか?
それは事実と解釈を混同した報告をしているから。
「空・雨・傘」のフレームワークを使えば、上司に対して論理的に報告が出来るようになります。
問題が起きても適切なステップでスムーズに解決することが出来るようになります。
できるビジネスパーソンにとって基礎となるフレームワーク「空・雨・傘」についてわかりやすく解説します!
空・雨・傘のフレームワークとは!?
「空・雨・傘」のフレームワークとは、問題解決によく使われるフレームワークです。
- 「空が暗い雲に覆われている。」=事実を把握
- 「雨が降るかもしれない。」=解釈して意味づけ
- 「傘を持っていこう!」=解決策を提示
この3段階の問題解決のプロセスをフレームワークという型に落とし込んだのが「空・雨・傘」のフレームワーク。
「ん?当たり前のことじゃない?」
と思う人も多いかもしれません。
実際、私も最初に知った時は
「大して役に立たないフレームワークだな。」
と恥ずかしながら感じていました(笑)。
しかし、これを意識すると問題解決のスピードも上司へのプレゼンも劇的に改善されるのです。
なぜなら、多くの人は仕事の時にこの「事実確認→解釈→解決策の提示」という3段階のプロセスを混同してしまっているからです。
例えば、上司から直近の売上状況について報告するように依頼されたとします。
あなたは
「弊社の直近の売上は競合商品が増えてきたため、前年比で30%落ちています。」
と報告したとします。
すると上司から
「事実と解釈を混同するな!」
と怒られました。
これはなぜか?
上司が求めていたのは客観的な事実だからです。
「前年比で30%売り上げが落ちている。」
これはデータに基づく事実です。
しかし、
「競合商品が増えたため」
というのはあなたの想像に過ぎません。
実際は競合商品が増えたわけではなく、営業部隊が機能不全に陥っているために売上が下がったのかもしれません。
新規商品の開発に時間が掛かり過ぎて、自社商品が顧客から飽きられてしまったことが原因かもしれません。
そのため、「競合商品が増えたため」というのは客観的な事実ではありません。
それを上司に対して客観的な事実のように報告してしまったので怒られたのです。
このように実際の仕事において事実と解釈を混同して報告をしたり、事実をよく確認せずに見当違いな解決策を実行して失敗することはよくあります。
実際、私もこのフレームワークを知る前はしょっちゅう事実と解釈を混ぜ合わせて報告していました。
しかも、それに気づいていませんでした。
「空・雨・傘」のフレームワークはこういう「事実確認→解釈→解決策」のプロセスを整理し、論理的に思考するのに非常に役立ちます。
「空」が意味するのは?
「空・雨・傘」の「空」は現状の把握=事実確認です。
思い込みに囚われずに現状を徹底的に観察することで把握する客観的な事実のこと。
- 「空は晴れているのか?」
- 「それとも雨が降っているのか?」
問題が起こった場合に正確に事実を把握できなければ、原因を見つけることも根本的な解決策を見出すことも出来ません。
事実を間違って把握したら、見当違いな解決策が実行されることになってしまいます。
なので、「空」による事実の把握は非常に大切です。
よくデータ分析に時間を掛けて立派な資料を作っても、それで終わりにしてしまう場合があります。
このように事実の把握だけで終わってしまうと
「それで何が言いたいの?」
と突っ込まれてしまいますので、事実を把握したら次の「雨」=解釈に進む必要があります。
「雨」が意味するのは?
「空・雨・傘」の「雨」は事実に基づく解釈です。
「その事実はこの問題に対して、何を意味しているのか?」
と考えて、把握した事実に対して意味づけを行います。
要は事実を基に仮説を立てるということです。
正確に事実を把握しても、そこから
「事実をどのように解釈するか?」
が的確な解決策につながるかどうかを大きく左右します。
- 「空が薄暗い雲に覆われている」=事実把握
- 「でも、しばらくは雨は降らないだろう。」=解釈(仮説を立てる)
- 「傘を持っていかない。」=解決策
- 「結局、雨が降ってずぶ濡れになった。」=結果
という結果になるのは、事実に対して正しく解釈できなかったためです。
しかし、事実やデータをいくら大量に保有したとしても、それを正しく解釈して行動につながる解決策に結び付けなければ何の意味もありません。
事実を把握したら、正しい解釈をして仮説を立てる。
この流れが大切です。
もちろん、解釈にも複数の解釈が考えられます。
それぞれの解釈ごとに解決策が変わってくるので、複数の解釈が出た場合は優先順位付けをしておくことが大切です。
そして、最後に行動につながる解決策の提示のステップに進みます。
「傘」が意味するのは?
「空・雨・傘」の「傘」は行動につながる解決策の提示です。
正確に事実を把握して、正しく解釈した。
でもそれで終わってしまったら、何の行動にもつながりません。
問題も解決できません。
- 「アルバイト退職率が高い。清掃ばかりでつまらないという不満が多いことがわかった。」=事実把握
- 「アルバイトに働き甲斐のある仕事を任せれば退職率が下がるのではないか?」=解釈
と解釈までしたのに、めんどくさがって
「アルバイトに研修を担当してもらったり、店舗改善のMTに参加してもらったりしよう!」
という解決策を実行しないために結局アルバイトの退職率はずっと高いまま、、、
こういうことがビジネスではよく起こっています。
問題解決のためには、事実把握をし、正しく解釈までしたら、必ず解決策まで出して行動する必要があるのです。
また、先ほどの例では「傘を持っていく」以外に
- 「レインコートを着て行く。」
- 「車で出かける。」
というように解決策にも複数の選択肢が出てくることも頭に入れておく必要があります。
「空・雨・傘」を使うメリット
「空・雨・傘」のフレームワークを使うことは
- 問題解決の段取りが良くなり、解決スピードが上がる
- 上司への提案やプレゼンが通りやすくなる
- 問題の真の原因を把握して根本から解決しやすくなる
上記のようなメリットがあります。
1.問題解決の段取りが良くなり、解決スピードが上がる
「空・雨・傘」のフレームワークを徹底的に使っていると、当たり前のように
「事実確認→解釈→解決策」
という問題解決に不可欠な3段階のプロセスを明確に意識することが出来るようになります。
データ分析をしても、「事実把握」のみで「解釈」のステップを行わずに上司に報告し、
「で?結局このデータが何を意味するの?」
と上司から突っ込まれる、ということもなくなるはずです。
「空・雨・傘」を習慣にすれば、問題が起きてもその解決に必要なステップを漏れなく、スピーディーに実行することが出来ます。
そのため、問題解決のスピードが速くなります。
2.上司への提案やプレゼンが通りやすくなる
「空・雨・傘」のフレームワークを使う習慣がついていれば、事実と解釈を混同しなくなります。
上司への報告で
「事実と解釈を混同するな!」
と怒られることも劇的に減るはずです。
上司に提案書を作成する時もプレゼンをする時も
「事実確認→解釈→解決策」
の3ステップをきちんと踏まえているので論理的にわかりやすい説明が出来ます。
その結果、事実と解釈を混同している人に比べて遥かに提案やプレゼンが通りやすくなるのです。
3.問題の真の原因を把握して根本から解決しやすくなる
「空・雨・傘」のフレームワークを活用している人は
「正確な事実の把握が問題解決のためにいかに大切か?」
をよく知っています。
そのため、正確な客観的事実を把握する努力を惜しみません。
現場を実際に観察したり、ユーザーから直接声を聞こうとします。
だからこそ、問題の真の原因を突き止めて、根本から問題を解決する確率が上がるのです。
「空・雨・傘」を使う際の注意点は?
効果的に「空・雨・傘」のフレームワークを使う時には
- 「事実確認→解釈→解決策」に入る前に明確に課題を定義する。
- 精度の高い「解釈=仮説」のために「空=事実把握」の見極めを重視する。
上記2点に注意する必要があります。
1.「事実確認→解釈→解決策」に入る前に目的を明確にする。
「空・雨・傘」のステップ、つまり「事実確認→解釈→解決策」を行うためにはその前提となる目的を明確にしておく必要があります。
「雨に濡れずに外出したい。」という目的があるからこそ
- 「空が一面暗い雲で覆われている。」=事実確認
- 「雨が降りそうだ。」=解釈(仮説設定)
- 「傘を持っていこう。」=解決策
という流れで「傘を持っていこう。」という解決策が出てきます。
もしこれが
「雨に濡れてもいいから外出したい。」
というのが目的であれば、「傘を持っていこう。」という解決策自体全く意味がありません。
仮に目的が「欲しい物を買いに外出したい。でも雨に濡れたくない。」であれば
- 「空が一面暗い雲で覆われている」=事実確認
- 「雨が降りそうだ。」=解釈
- 「今日は外出をやめてネットで欲しい物を買う。」=解決策
という選択肢も出てきます。
このように「空・雨・傘」を使う前に、
「どんな目的を達成したいのか?」
と考え、目的を明確にすることが非常に大事です。
2.精度の高い仮説のために「空」=事実の見極めを重視する。
精度の高い仮説を立てる=「解釈」のステップのためには、「空」=事実の見極めが非常に大事になります。
もし「空」=事実の把握自体が自分の思い込みのせいで間違っていたら、その後の「解釈」→「解決策」も確実にずれた方向に行ってしまいます。
例えば、自分自身の目で実際に空の状態を確認せずに、外に出ている友人に電話で聞いて
「空は青空が見えているよ。」
という言葉を鵜呑みにした場合。
- 「空は青空が見えている(友人情報)」=事実把握
- 「雨は降らなそうだ。」=解釈
- 「傘は置いていこう。」=解決策
となります。
でも実際には外出してすぐに雨に降られました。
もしかしたら、友人が雲の切れ目に青空が見えていることを
「空は青空が見えているよ。」
と伝えたのかもしれません。
もしくは友人はその時、あなたとは全く別の他県にいる可能性もありますし、
「雨に降られたら面白いな。」
と悪意があり、事実とは違う情報を伝えている可能性だってあります。
人を介した情報を鵜呑みにしない
このように「空」=事実把握では
- 新聞の記事
- ネットの記事
- 部下からの現場の状況報告
などの「人を介した情報」を鵜呑みにしないことが非常に大切です。
なぜなら、その情報は第三者のフィルターが掛かっており、正確な事実とは違っている可能性があるからです。
一次情報を重視する
事実把握のためには
- 現場の人に直接話を聞く
- 自分の目で現場を徹底的に観察する
- 顧客にインタビューをする
など自分の目で見聞きした情報を重視する必要があります。
こういう現場などを自分で見聞きした情報を一次情報と言います。
「空」のステップではこの一次情報を出来る限り集めて正確に事実把握することが非常に大切。
空の状況は直接自分が空を見た方が確実ですよね?
売上が下がっているなら、部下にその原因を聞くよりも直接顧客の声を聞いた方が本質的な原因に辿り着きやすくなります。
このように一次情報を重視し、正確な事実をあらゆる角度から把握しようとする。
この正確な事実把握があるからこそ、問題の根本原因を見極め、精度の高い仮説を出し、効果的な解決策につなげることが出来るのです。
最後に
「空・雨・傘」は問題解決の基礎となるフレームワークです。
日々起きる問題で徹底的に活用して、「事実確認→解釈→解決策」の3ステップを習慣化していきましょう。
「空・雨・傘」のフレームワークを使いこなせれば、確実にあなたのビジネスレベルを一段階引き上げてくれるはずです!