売上高営業利益率とは?計算方法や目安、売上高総利益率との違いまでわかりやすく解説!

B!

今回は売上高営業利益率について!

会社の収益性の分析で便利な売上高利益率。

その中で特に重要なのが、営業利益を基にした売上高営業利益率です。

今回はこの売上高営業利益率について

「売上高営業利益率っていったい何?」

「平均はどれくらい?」

「売上高営業利益率を改善するには?」

「どうやって分析すればいい?」

こういった疑問を1つずつ潰していきます!

売上高営業利益率ってなに?

売上高営業利益率とは、会社の売上高の中で、本業の儲けである営業利益がどれくらいの割合を占めているかを表す指標です。

この売上高営業利益率が高ければ高い程、営業活動が効率的に行われていて

「本業で稼ぐ力が強い!」=「本業で儲けている」

ということになります。

そのため、売上高営業利益率は高ければ高い程良いとされます。

この売上高営業利益率は

  1. 会社の商品力の強さ
  2. 経営者がいかに会社内部を上手に管理出来ているか

の2点がよく分かる指標とも言えます。

そもそも営業利益とは?

営業利益は会社が本業で稼いだ利益のことです。

会社の売上総利益(粗利)から販管費(広告宣伝費や人件費、家賃など)を除くと営業利益となります。

つまり、

営業利益=売上総利益ー販管費

という計算式です。

ちなみに<本業>っていうのは、カフェならカフェ業(飲み物やデザートなど)で稼いだお金が該当します。

カフェの売上がメインの会社が、株を運用して稼いだお金は本業には該当しません。

営業利益は、売上高から売上原価を引いた売上総利益から、更に広告宣伝費や人件費、店舗の家賃などを引くので、

「本業でどれくらい稼いでいるのか」

がわかる利益です。

そのため、売上総利益(粗利)よりも重要な利益になります。

売上高営業利益率は、

「この営業利益を売上高からどれだけ効率的に絞り出せているか?」

の割合を判断できる数値です。

仮にA社とB社ともに売上高100億円だった場合、A社が営業利益率が5%、B社が10%だとすると

A社の営業利益=5億
B社の営業利益=10億

と利益の額が大きく変わってくるのです。

この売上高営業利益率は、売上高総利益率と合わせて確認すると、より効果的な分析が出来ます。

計算方法は?

売上高営業利益率の計算式はとても簡単です。

営業利益を売上高で割って、100%掛ければすぐに出せます。

例えば、営業利益が500万円、売上高が5,000万円の会社があったとすると

売上高営業利益率(%)=500万円(営業利益)÷5,000万円(売上高)×100=10%

と計算できます。

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売上高総利益率との違いは?

売上高営業利益率と売上総利益率の違いを整理しましょう。

売上高総利益率は

「会社の売上高に対して、売上総利益がどれくらいの割合を占めているか?」

を表す収益性分析の指標の1つ。

売上高に対し、

  • 売上総利益を分子にして計算するのが「売上高総利益率」
  • 営業利益を分子にして計算するのが「売上高営業利益率」

となるので、売上高に対してどちらの利益を対象にするかの違いしかありません。

対象となる営業利益と売上総利益の違いは下記図の通り、販管費を含むかどうかです。

計算対象となる利益が違うだけですが、売上高総利益率と売上高営業利益率は表す意味合いも大きく変わってきます。

売上高営業利益率は「本業で儲ける力の強さ」を表すのに対し、

売上高総利益率は「商品(サービス)の強さ(どれだけ利益を上乗せして販売できるか?)」を表しています。

売上高総利益率は業界・業種ごとに大きな差がある

売上高総利益率は商品(サービス)の強さを表すため、業界やビジネスモデルごとに大きな違いが出ます。

例えば、化粧品会社やソフトウェア販売の会社などでは売上高総利益率は60%~70%程度になる会社が多い一方で、コンビニなどの小売業の会社では20~30%程度です。

下記は有名企業の売上総利益率です。

  • ディズニーランドを運営する「株式会社オリエンタルランド」:37.9%
  • セブンイレブンを運営する「セブン&アイ ホールディングス」:19.9%
  • ローソンを運営する「株式会社ローソン:」31.3%
  • ZOZOTOWNを運営する「株式会社ZOZO」:88.6%
  • 建築や賃貸住宅で有名な「大和ハウス工業」:20.3%
  • 焼き鳥屋チェーン鳥貴族で有名な「株式会社鳥貴族」:70.1%

同じ売上高総利益率でも業界やビジネスモデルが違うとこんなにも大きな差になります。

一方で、営業利益率は「本業での儲ける力」を表しているので業界や業種ごとにそこまで大きな違いは出ません。

なぜなら、売上高総利益率で圧倒的に高い数値を出す化粧品会社も販管費(販売にかかる人件費や広告)に多額の金額を掛けるからです。

売上総利益ー販管費=営業利益

でしたね?

一般的に売上高総利益率が高い業界は販売促進費や広告宣伝費などの販管費に多くのお金が掛かります。

一方で、売上高総利益率が低めの業界は売上原価が大きく掛かりますが、販売促進・広告宣伝の費用も低めです。

そのため、売上高営業利益率は他の業界とそこまで変わらない数値に落ち着くのです。

営業利益率の目安はどれくらい?

売上高総利益率は業界やビジネスモデルによって大きな違いが出ることがわかりました。

では、売上高営業利益率の目安はどれくらいでしょうか?

売上高営業利益率の全業種の平均は3~4%と言われています。

ビジネスモデルによっては営業利益率が20%を超える企業もありますが、国内だと営業利益率10%を超えているかが1つの基準になります。

有名企業の売上高営業利益率は?

先程、売上高総利益率で例に出した有名企業の売上高営業利益率をチェックしましょう!

  • ディズニーランドを運営する「株式会社オリエンタルランド」:24.6%
  • セブンイレブンを運営する「セブン&アイ ホールディングス」:6.1%
  • ローソンを運営する「株式会社ローソン:」8.7%
  • ZOZOTOWNを運営する「株式会社ZOZO」:21.7%
  • 建築や賃貸住宅で有名な「大和ハウス工業」:8.9%
  • 焼き鳥屋チェーン鳥貴族で有名な「株式会社鳥貴族」:3.3%

※各企業の決算短信(2018年度)より計算

オリエンタルランドとZOZOは営業利益率20%を超えているのがすごいところ。

それ以外の企業も上場企業だけあって、売上高営業利益率が10%に近い会社が多いです。

株式会社鳥貴族は売上高総利益率に関しては70%を超えていましたね?

しかし、販管費(販売費及び一般管理費)に多くのお金を掛けているので、売上高営業利益率では3.3%と一般的な水準に収まっていることがわかります。

このように売上高総利益率と売上高営業利益率の2つを見比べるとその企業の強みや課題が見えてきます。

売上高営業利益率を改善するには?

売上高営業利益率を改善するには以下の方法が考えられます。

値上げ

とてもシンプルで強力な方法だけど、商品力が強くないと逆に客離れを引き起こす原因となってしまう。

商品の構成を変える

たいていの会社は利益率が低い商品と利益率が高い商品を組み合わせて売っていることが多い。(カップ麺とナナチキみたいな感じで)

その構成を利益率が高い商品の比率を高められるように販売戦略を工夫する。

例えば、コンビニで最近多いプライベートブランド(ローソンならローソンセレクトなど)は、小売店が自社で企画・製造まで行う商品なので利益率が高い。
→そのプライベートブランドが多く売れるようになれば利益率が高まるってわけです。

人件費や店舗の家賃などのコストカット

売上高総利益率が高いのに、営業利益率が低い場合は広告宣伝費や人件費などのコストがかかり過ぎていることが原因。

なぜなら、営業利益=売上総利益ー販管費だから、広告宣伝費や店舗の家賃、人件費などの販管費の金額次第で大きな差が出るからです。

そのため、人件費の掛け方を見直して不要な人件費をカットしたり、費用対効果が低い販促手段を行わないようにしたりしてコストをカットするための工夫をする必要があります。

売上高営業利益率を高めるには、上記のような方法があります。

もちろん、それ以外にも営業利益率が改善する方法はあります。

例えば、売上高が大きく増えた場合です。

売上高が大きく増えたら商品の仕入れがもっと大量に出来るようになるかもしれません。

そうすれば、仕入れ先との交渉で値引きをしてもらえて、もっと売上原価を下げることが出来るかもしれないですね。

それに売上高が増えれば、商品の売上数に関係なくかかる固定費(家賃や店舗の水光熱費など)の割合が小さくなるので、その分、営業利益率が改善していきます。

売上高営業利益率はどう分析する??

売上高営業利益率は業種やビジネスモデルによっても結構差があります。

まずは同じ業種・ビジネスモデルの他社と比べてみて、自社がどうなのかをチェックしてみましょう。

合わせて、自社の数年分の売上高営業利益率の推移もチェックするといいでしょう。

例えば、過去5年で徐々に営業利益率が下がっているのであれば、本業の調子が悪く、会社の経営としては黄色信号が灯っている可能性があります。

また、先ほどお話ししましたが、売上高総利益率と一緒に分析するのもおすすめです!

上記の改善方法の章でも記載しましたが、売上高総利益率が高いのに、売上高営業利益率が低い場合は、人件費などのコストが掛かり過ぎている可能性が高いです。

もし同業他社と同じぐらいの売上高総利益率なのに、自社の方が営業利益率が高い場合は、自社の方がうまく人件費や広告宣伝費を管理出来ている可能性が高いです。

ただ、どの分析の指標もそうですが、1つの指標だけを見るのではなく、複数の重要な指標を見比べながら総合的に判断することが必要になるでしょう。

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