
今回は経常利益率について!
「会社の売上が上がった!」
と喜んでいても、それ以上に人件費などの経費が上がっていたら利益は、むしろ減ってしまいますよね?
なので売上高ではなく、
「あの会社は儲かっているのか?」
という時によく見るのが売上高利益率です。
その中で企業の平常時の利益である経常利益(けいじょうりえき)を基にした利益率が売上高経常利益率。
この経常利益率については
「売上高経常利益率って何?これで何がわかるの?」
「計算方法は?」
「どれくらいが平均なの?」
「改善するにはどうすればいい?」
こんな疑問が浮かんできませんか?
今回はこのような疑問を1つずつ解消して、売上高経常利益率を理解しやすいように解説します!
売上高経常利益率とは?これで何がわかる??
売上高経常利益率とは、
「会社の売上高のうち、経常利益がどれくらい含まれているか?」
の割合(%)を表す財務指標です。
経常利益率と短く呼ばれることも多いです。
会社の収益性を判断するのに使われる指標の1つ。
要は
「儲かっているか?」
をチェックするための指標ですね。
経常利益率は、会社の財務活動(銀行からの借り入れや社債の発行とか)なども含めて、事業活動全体においての利益の割合を表します。
会社の総合的な収益性が表されているため、この経常利益率が高いほど行っている事業の利益獲得力が強い。
そのため、経常利益率は営業利益率と同様に高ければ高いほど良いとされています。
そもそも経常利益とは?
売上高経常利益率を理解するには、まず
「経常利益がいったい何者か?」
を理解する必要があります。
経常利益とは、会社の通常の活動によって得た利益のこと。
損益計算書の5つの利益の内の1つです。
経常=平常、という意味なので、平常時における利益=経常利益ということです。
この経常利益はその会社が平常時において
「毎年どれくらい稼げるのか?」
を表す大事な指標です。
経常利益と会社の本業での利益である営業利益との違いは、
- 本業以外で発生した利益(営業外収益)
- 本業以外で発生した損害(営業外費用)
を加えることです。
経常利益=営業利益+営業外収益ー営業外費用
という計算式になります。
営業利益について詳しくはこちら
→営業利益とは?初心者でもわかりやすい営業利益の解説!
経常利益について詳しくはこちら
→経常利益とは?わかりやすい経常利益の解説!
計算方法は?
売上高経常利益率の計算方法はとても簡単です。
売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100%
とてもシンプルな計算式です。
例えで確認しましょう。
昨年度が
売上高:10億円
経常利益:5,000万円
の会社があったとしましょう。
この場合、売上高経常利益率は
売上高経常利益率=5,000万円÷10億円=5%
ということになります。
平均はどれくらい?
売上高経常利益率は会社の通常時の収益力を表しています。
では、平均はどれくらいなのでしょうか?
日本の大手企業の経常利益率の平均はだいたい4%と言われています。
それに対し、日本の中小企業の経常利益率の平均は3%前後です。
ただこれに関してはあくまで平均に過ぎません。
2016年トヨタ自動車の経常利益率はなんと10.5%。
優秀な企業は10%を超えてくる場合もあります。
一方で、経常利益率がマイナスの会社もたくさんあります。
業種によっても経常利益率が高い業種と低い業種があるので、一概に何%がベストとは言えません。
ただ同業他社と比べて自社の経常利益率がどれくらいなのかは見ておくべきポイントです。
経常利益率を分析する時はどこに注目する?
売上高経常利益率を分析する際は、他の指標も同様ですが、単年度だけを見て
経常利益率が高い!→会社の調子がいい!
経常利益率がマイナス、、、→会社が危ない!
と判断するのは危険です。
その年だけ地震などの災害の影響や海外の為替の影響で一時的に経常利益率が低い年が生まれる可能性は十分あります。
過去5~10年の実績と比べる
そのため、経常利益率は自社の過去5~10年の実績と比べて、チェックしましょう。
過去に比べて
「経常利益率が上がっているのか?」
「それとも下がっているのか?」
をチェックした方がいいでしょう。
徐々に経常利益率が上がってきているのであれば、会社の経営は比較的順調だと言えます。
逆に経常利益率が年々下がってきている会社は収益力が低下しています。
経営に黄色信号が灯っている可能性が高いです。
同業他社と比べる
同業他社との比較も重要です。
収益モデルが似ている同業他社との経常利益率を比べると自社の収益力の強さが見えてきます。
同業他社に比べて、自社の方が経常利益率が大きく高い場合は他社よりも収益体制に強みがあると言えます。
自社の売上高営業利益率と比べる
自社の売上高営業利益率との比較も役に立ちます。
それぞれの利益率の元になっている営業利益と経常利益の違いは
- 本業以外で発生した利益(営業外収益)
- 本業以外で発生した損害(営業外費用)
でしたね?
もし売上高営業利益率よりも売上高経常利益率が低くなっている場合は
営業外収益 < 営業外費用
となって本業以外での収支がマイナスになっています。
※営業外収益・・・株での儲けや貸しているお金の利息など
※営業外費用・・・借入金の利息の支払い、有価証券評価損など
このマイナスが大きい場合は、営業外費用の内、どの項目が大きなマイナスの原因になっているか、を探る必要があります。
逆に営業利益率よりも経常利益率の方が高い場合も、もちろんあります。
この営業外損益(営業外収益ー営業外費用)がプラスになっているということです。
この場合は効率的な資産運用が出来ている、と言えますが、注意する点があります。
営業利益率よりも経常利益率が大幅に高い場合です。
例えば、営業利益率:1%、経常利益率:5%の会社だと
営業利益が少ないのに、財務活動で資金を増やし、なんとか経営をやりくりしているケースも考えられます。
この場合は会社の本業の利益率が低いという問題があるので、そこを改善する必要があります。
同業他社の営業利益率と経常利益率の差と比べて自社はどうなのか、をチェックすることも有効です。
売上高経常利益を改善するには?
売上高経常利益率を改善するには、会社の現状によって重視すべき点が変わってきます。
営業利益率も経常利益率も低い場合
営業利益率も経常利益率も低い場合は、問題は営業利益率が低いことです。
この場合は会社の本業の利益率が低いという課題を改善する必要があります。
営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100%
なので、改善方法の1つとしては、
「売上高を変えずにいかに営業利益を増やせるか?」
がポイントになります。
営業利益=売上総利益(粗利)-販管費
なので、販管費(広告宣伝費や人件費、店舗の家賃など)を抑える工夫をしましょう。
- 人件費の掛け方を見直して不要な人件費をカットする。
- 費用対効果が低い販促手段(チラシとかWEB広告など)をやめて、効果が高い方法に注力する。
- 営業に掛かる経費で無駄なモノがないか洗い出してカットする。
このような改善方法が考えられます。
営業利益率の改善にはそれ以外にもまだまだ方法があります。
詳しくは→売上高営業利益率とは?計算方法から分析の仕方までわかりやすく解説!
営業利益率は高いのに、経常利益率が低い場合
営業利益率がまぁまぁの水準であるのに、経常利益率が低い場合は
営業利益よりも経常利益の方が大きく低くなっているはずです。
具体的には
経常利益=営業利益+営業外収益ー営業外費用
の計算式になるので、
- 営業外収益
- 営業外費用
の2つの収支が大きなマイナスになっているはずです。
特に営業外費用の以下の項目で
- 支払利息
- 支払割引料
- 有価証券売却損
- 有価証券評価損
- 為替差損
- 雑損失
どの項目の費用が経常利益率を圧迫しているかをチェックしましょう。
そして、大きなマイナスの要因となっている部分を改善していく必要があります。
例えば、支払利息が経常利益率を圧迫しているなら、有利子負債(利子のある借金)をなるべく早めに返済していきます。
まぁそれが難しいから、支払利息が増えてしまっているのかもしれませんが。
とにかく会社の数字が思わしくない場合は原因をしっかり分析して、現状を認識することは大切です。
原因がわかれば対策を打って、改善につなげられる可能性が高くなるはずです!
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