今回は固定費について!
会社を運営する中で発生する様々な費用は「変動費」と「固定費」に分けることが出来ます。
「損失が無くなり、利益が出る売上高(損益分岐点売上高)はどこか?」
ということを知るためにも
「変動費と固定費にそれぞれどれくらいの金額が掛かっているか?」
を把握しておく必要があります。
この記事では、商品に付加価値を加えるために重要な固定費について
- 「固定費と変動費の違いは?」
- 「固定費はなぜ必要なの?」
- 「限界利益と固定費の関係は?」
- 「損益分岐点売上高と固定費の関係は?」
このようなよくある疑問を解消しながら、わかりやすく解説します!
固定費とは?
固定費とは売上の増減に関係なく掛かる費用のことです。
会社が事業を営む際に、商品を製造したり、販売したりしなくても必ず発生する費用があります。
例えば、コンビニの売上が1月は300万円、2月は100万円だった場合でも、家賃30万円は1月も2月も同じ料金で発生します。
お店で清掃員さんを雇っていれば、その方の人件費はお店の売上に関わらずに掛かります。
これが固定費です。
「売上の増減に関係なく、ある程度一定の価格が発生する」という性質を持った費用です。
固定費には何が含まれる?
固定費には何が含まれるでしょうか?
先ほどお話しした家賃はその代表例。
具体的には下記のものが該当します。
売上が上がろうが、下がろうが料金は一緒の性質のものばかりですよね?
※人件費の中でも残業代やスーパー銭湯の水光熱費は売上に比例する場合もあるので変動費になる可能性もあります。
変動費との違いは?
固定費と変動費の違いを確認しましょう。
変動費とは?
変動費とは固定費と違い、売上に比例して増える費用のことです。
「売上によって変動する費用=変動費」
と考えるとイメージしやすいです。
例えば、1個:100円の鮭おにぎりをお店で売っているとします。
そのおにぎりの材料はお米、鮭、のり、包装袋など。
おにぎりを売るために必要な材料費はお米代など、全部合わせて30円だとします。
この材料はおにぎりが1個が売れるたびに使用されるので材料費のトータルは30円ずつ増えていきます。
そのため、この30円がおにぎり1個あたりの変動費になります。
固定費と変動費の違いは「売上に比例するかどうか」
固定費と変動費の違いは、ずばり
「売上に比例する費用かどうか?」
です。
- 売上の増減に比例する費用であれば、変動費。
- 売上の増減に関係なく一定で発生する費用であれば、固定費。
と覚えておきましょう。
先ほどのおにぎりの例でいえば、
おにぎり1個に対して掛かる材料費30円が変動費。
それに対し、おにぎりを握る人の人件費やおにぎりを売る場所であるお店の家賃は固定費となります。
固定費はなぜ必要なのか?
- 「売上に関係なく掛かる固定費がなぜ必要なのか?」
- 「固定費が無い方が利益が上がりそうなんだけど、、、」
と思ってしまいがちですが、そうではないんです!
なぜなら、固定費が商品やサービスの付加価値を作るからです。
固定費が0円の場合
固定費を全く掛けないということは、固定費が0円ということです。
それは例えば、コンビニで120円の缶コーヒーを買って、それをコンビニ近くにいる人に150円で売ろうとするのと同じことです。
誰も買わないですよね!?(笑)
同じ商品をコンビニでもっと安く買えるのに、わざわざ買おうと思いません。
固定費を全く掛けないと商品の価値を高められないのです。
だから、仕入れた価格以上の価格で売ることが出来ません。
でも、コンビニで仕入れたコーヒーを車で運び、自販機などが全く無い田舎で150円で売ったらどうでしょうか?
普段都会に出ないと買えない缶コーヒーを飲めるので買ってもらえるでしょう。
そうすれば、30円の利益が出ます。
この場合、車で田舎まで移動する手間と車のガソリン代などの費用が掛かっています。
この手間や費用を掛けたおかげで缶コーヒーが売れるのです。
固定費がなぜ必要なのかというと、それが商品の価値を高めて利益を得る力になってくれるからです。
限界利益率と固定費がわかれば損益分岐点売上高が出せる
「これ以上の売上が上がれば利益が出る」
という分岐点である損益分岐点売上高。
会社経営やお店の運営にはこの損益分岐点売上高を把握しておくのがめちゃくちゃ大切です!
損益分岐点売上高は限界利益率と固定費がわかれば、計算で出すことが出来ます。
限界利益率とは?
限界利益率とは、売上に含まれる限界利益の割合のことです。
限界利益は商品1個を販売した時に増加する利益です。
限界利益は商品が生み出す付加価値そのもの。
- 材料を仕入れ、手間暇かけておいしい料理を作って提供する
- 最高の家具を揃え、優雅にくつろげるようにしたホテル
このように企業努力によって価値を高めた商品を売ることで得た利益=限界利益です。
限界利益=商品の販売価格ー変動費
の計算で出すことが出来ます。
例えば、先ほどの1個100円のおにぎりでいえば、
- 販売価格100円
- 変動費は材料費なので30円
おにぎり1個当たりの限界利益は
100円(販売価格)ー30円(材料費)=70円となります。
限界利益率の計算方法
限界利益率は商品1個当たりに含まれている限界利益の割合です。
そのため、
限界利益率=商品の限界利益÷商品の販売価格×100%
となります。
1個100円のおにぎりの例なら
限界利益率=70円(限界利益)÷100円×100%=70%
となります。
これでおにぎり1個当たりの限界利益率がわかりました。
損益分岐点売上高を求める
限界利益率がわかったので、あとは固定費がわかれば損益分岐点売上高がわかります。
1個100円のおにぎりを売るお店の固定費が人件費や店の家賃などを含めて月に50万円掛かるとします。
固定費は売上に関係なく発生するお金でしたね?
そのため、お店の利益がこの50万円を上回らないと赤字です。
「お店を赤字にしないために、おにぎりをいくら売ればいいのか?」
それを知るために損益分岐点売上高を求めるのです。
限界利益図表
損益分岐点売上高をわかりやすく把握するには、限界利益図表が便利です。
下記の図は先程のおにぎり屋の損益分岐点売上高がわかる図です。
- おにぎり1個の販売価格:100円
- おにぎり1個の限界利益:70円
- 限界利益率:70%
- 固定費:50万円
でした。
限界利益は売上に比例して増える変動費を除いた金額です。
商品1個を売り上げれば増加していく利益なので、この限界利益がお店の固定費50万円を超えれば利益が出ますよね?
限界利益が固定費と同額(今回だと50万円)に達した点を損益分岐点と言います。
そして、その時の売上高が損益分岐点売上高というのです。
損益分岐点売上高を求める計算式は?
では、限界利益=50万円を作るためにはおにぎりをいくら売ればいいでしょうか?
まず必要な売上高=損益分岐点売上高を求めます。
損益分岐点売上高を求めるには下記の計算式
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
で求めることが出来ます。
おにぎり屋の例で見れば
損益分岐点売上高=50万円(固定費)÷70%(限界利益率)=71.429万円
となるので、利益を出すには71.429万円の売上を得る必要があるとわかります。
最後に、1個100円のおにぎりを何個売れば利益が上がるかをチェックします。
71.429万円(必要な売上)÷100円(おにぎりの販売価格)=7,142.9個
つまり、月に7,143個のおにぎりを売れば利益が出ることになります。
このように固定費と限界利益率がわかれば、損益分岐点売上高がわかります。
損益分岐点売上高がわかれば、お店の商品を何個売れば利益が出るのかが把握できるのです。
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