
ニュースや経済記事で「コアCPIは前年比+2.4%上昇」「コアCPIが目標水準を超えた」などの表現を見かけたことはありませんか?
消費者物価指数(CPI)はよく知られていますが、「コアCPI」とは何か、なぜ注目されているのかまでは意外と知られていないかもしれません。
この記事ではコアCPIの意味や重要性、CPIとの違いを具体例とともにわかりやすく解説します。
目次
コアCPIとは?
コアCPIとは、CPI(消費者物価指数)から変動の大きい品目を除いたものです。
通常、食料(生鮮食品)とエネルギー価格を除外したCPIが「コアCPI」として計算されます。
食料やエネルギーを除く理由
では、なぜ食料やエネルギーを除くのでしょうか?
食料(特に生鮮食品)
野菜や果物、魚介類などは天候不順や季節要因で価格が大きく変動します。
例えば、台風や猛暑の影響で野菜価格が一時的に急騰しても、これはインフレの持続的な傾向とは言えません。
エネルギー
石油、ガソリン、電気料金などのエネルギー価格も国際市場の影響を受けやすく、変動が激しいため、物価の基調判断には適さない場合があります。
こうした短期的・外的要因の影響を除くことで、コアCPIは国内経済の内側から生じる「じわじわしたインフレ圧力」を測るのに適しているのです。
ただし、日本の場合はエネルギーに関しては消費者物価指数(CPI)に含めており、生鮮食品のみを除外しています。
つまり、コアCPIは物価の基調的な動き=インフレの「持続的な傾向」を捉えるための指標として使われているのです。
コアCPIとCPIの違い
コアCPIとCPIの違いは下記のとおりです。
指標 | 含まれるもの | 除かれるもの | 主な用途 |
---|---|---|---|
CPI | 家計消費の全品目 | なし | 総合的な生活コストの変化把握 |
コアCPI | 家計消費の品目 | 生鮮食品(日本版)、米国ではエネルギーも除く | インフレ基調の把握、金融政策判断 |
ポイント
- 日本では「生鮮食品を除くCPI」がコアCPIとされます。
- 米国では「食料とエネルギーの両方を除くCPI」をコアCPIと呼ぶのが一般的です(Core CPI)。
具体例
例えば、日本のある月のCPIとコアCPIのデータが下記だとします。
- 総合CPI(通常のCPI)
→ 前年同月比+3.0% - コアCPI(生鮮食品除く)
→ 前年同月比+2.4%
この場合、全体としては3%物価が上がっていますが、その一部は生鮮食品の価格上昇によるものと見ることができます。
より基調的な物価の動きは2.4%程度という読み方ができます。
なぜコアCPIを見るのか?
1. 中央銀行の金融政策判断に使われる
日本銀行や米連邦準備制度(FRB)などの中央銀行は、一時的な価格変動よりも中長期的な物価の基調を重視しています。
そのためコアCPIは、インフレ目標(たとえば2%程度)に近づいているかを確認する際の主要な参考指標となります。
2. ビジネス判断に役立つ
企業側としても短期的な原材料高や天候要因の影響より、持続的なコスト増圧力があるかどうかを判断する際にコアCPIの動向が参考になります。
たとえば:
- コアCPIがじわじわ上昇 → 将来的な価格改定や賃上げ対応を考える必要がある
- コアCPIが停滞 → コスト増リスクは比較的限定的と考えられる
どこで確認できる?
日本のコアCPIは以下で確認できます。
- 総務省統計局 消費者物価指数(CPI)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/
※「生鮮食品を除く総合指数」がコアCPIに相当します。
米国のCore CPIは:
- 米労働省労働統計局(BLS)
https://www.bls.gov/cpi/
「Core CPI」として発表。
経済ニュースや中央銀行の政策発表でも「コアCPIが◯%に到達」といった形で非常に注目されています。
ビジネスパーソンが押さえておくべき視点
ビジネスパーソンとしてコアCPIは下記観点で押さえておくといいでしょう。
- コアCPIは基調的なインフレ圧力を把握するための重要な指標
- 金融政策の判断材料になるため、金利動向・為替動向にも影響する
- 自社の価格戦略やコスト計画に影響を与えるため、定期的にチェックする習慣を持つ
- CPI総合指数とコアCPIの差を見ることで、一時的要因と持続的要因を見分ける意識を持つ
まとめ
コアCPIとは、生鮮食品や(米国ではエネルギーも)といった価格変動の大きい品目を除いた消費者物価指数です。
インフレの「基調」を見るために使われ、中央銀行や市場関係者、企業の経営判断において重要な役割を果たしています。
ニュースでCPIやコアCPIの話題が出た際は、単なる数字の違いではなく「なぜコアCPIが注目されているのか」という背景を意識して見ると、経済ニュースが一段と理解しやすくなるはずです。