今回は、キャッシュフロー計算書の中で最も重要な営業活動によるキャッシュフロー。
通称、営業キャッシュフローについてわかりやすく整理していきます。
「営業キャッシュフローは利益とは違うの??」
「営業キャッシュフローはプラスとマイナスどっちがいいの?」
理解するまではこんな疑問が色々出てきますよね。(私も理解するまでは疑問ばかりでした(笑))
そういった疑問を1つずつ解消していきます。
営業キャッシュフローとは?
営業キャッシュフローは一定期間において、会社が本業によって稼いだお金(キャッシュ=現金)を表しています。
本業って何かというと、カフェならカフェ業、アパレルなら服の販売などその会社の中心事業のことですね。
その会社が商品やサービスを販売して得た収入から、原材料費や人件費等の費用を引いて出した現金収支が営業キャッシュフロー。
営業キャッシュフローがプラスであればあるほど評価されます。
キャッシュフロー計算書には、
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- 財務キャッシュフロー
の3つのキャッシュフローがありますが、営業キャッシュフローが最も重要です!
なぜなら、営業キャッシュフローで稼いだお金をベースとして、投資をしたり(投資キャッシュフロー)、借入金の返済等(財務キャッシュフロー)を行うからです。
キャッシュフローと利益の違いは?
「そもそも現金の流れであるキャッシュフローと利益は何が違うの?」
と思われる方も多いでしょう。
私もその一人でした。
キャッシュフローと利益の違いはタイミングによる違いです。
商品を売った場合の例だと理解しやすいかもしれません。
商品を売掛で売った場合、売上が上がった時点で利益として計上されます。
よって、実際に入金されていなくても、売掛金になった時点で利益が増えます。
一方でキャッシュフローは実際に現金で入金されなければプラスになりません。
売掛金のサイクルは1ヶ月~数ヶ月のサイクルが通常です。
つまり、商品を売ってから実際に現金で入金があるまでに1ヶ月~数ヶ月のタイムラグがあるのです。
そのため、利益とキャッシュフローが一致しない。
「利益が上がっているので、手持ちの現金が増えていないのはなぜだ!!」
という状態になるのです。
キャッシュフローと利益の大きな違いはここですので、頭の片隅に入れておいてくださいね!
営業キャッシュフローがプラスの場合
では、営業キャッシュフローに戻りましょう!
営業キャッシュフローはそれ以外の投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローのベースとなっています。
そのため、営業キャッシュフローはプラスである必要があります。
そのプラスも大きければ、大きいほど高く評価されます。
営業キャッシュフローがプラスということは、本業で現金をしっかり稼げている、ということ。
会社の本業が安定していれば、会社の経営も安定しているということ。
営業キャッシュフローが大きくプラスになっている会社は資金調達を銀行などに頼らずに、積極的に新規投資や借入金の返済が出来ます。
営業キャッシュフローがマイナスの場合
逆に営業キャッシュフローがマイナスの場合はあらゆることがまずい状況です。
会社の経営に黄色信号が灯っていると言っても過言ではないかもしれません。
営業キャッシュフローがマイナス=本業で現金を稼げていない、ということになります。
従って、会社にある現金は減る一方ということです。
資金調達のためには、銀行からの借入金に大きく依存することになってしまいます。
投資をするためにも、返済期限が迫っている借入金の返済のためにも現金が必要。
なのに、本業でその現金が稼げない、、、という事態なのです。
もし営業キャッシュフローがマイナスになっているのであれば、長期化する前に手を打ってなんとかしなければなりません。
営業キャッシュフローがマイナスでも問題ない場合
ただ、一時的に営業キャッシュフローがマイナスでも問題がない場合があります。
それは会社が急成長している段階の時です。
会社が成長している時は、商品の売上高が急激に増えることが多いので、売掛金(すぐには現金にならない)が増えます。
更に今後の受注に備えて在庫も増やすため、一時的に手元の現金が減ることが起こりうるからです。
この場合、一時的に営業キャッシュフローがマイナスにはなります。
ただ急増した売上高の売掛金分が入金されてくれば、営業キャッシュフローはプラスに戻るので問題ありません。
もちろん、営業キャッシュフローがマイナスな状態が続くと現金がショートしてしまう恐れがあるので、注意して状況を把握しておきましょう。
営業キャッシュフローを構成している要素は?
次に営業キャッシュフローを構成している要素をざっくり確認します。
営業キャッシュフローを構成しているのは、
- 商品の仕入
- 商品の販売
- 水光熱費
- 人件費
- 家賃
- 利息・配当金
- 税金の支払い
などが挙げられます。
それぞれ営業キャッシュフローをプラスにする要因とマイナスにする要因に分けられます。
プラスにする要因=現金を増やす。
マイナスにする要因=現金を減らす。
と考えるとわかりやすいと思います。
わかりやすいものでプラスとマイナスに分けてみましょう。
営業キャッシュフローをプラスにする要因
営業キャッシュフローをプラスにするのですから、現金を増やす要因ということになります。
わかりやすい例で見ると
- 商品の売掛金の回収
→商品を売った代金を現金で受け取るので、現金が増える - 減価償却費
→購入した年以降は、実際にお金は払っていないので、現金が増える
という感じです。
営業キャッシュフローをマイナスにする要因
逆にマイナスの要因の例を挙げると
- 家賃の支払い
→現金で支払うので、現金は減る - 人件費(従業員の給料など)
→給料も現金で払うので、現金は減る - 商品の仕入れ代金
→買掛金ではなく、その場で支払っているのであれば現金は減るのでマイナス要因
というように現金が実際に減ったかどうかが判断基準です!
今回のポイント!
今回のポイントは
- 営業キャッシュフローは会社の本業で稼いだキャッシュのこと
- キャッシュフローは現金の収支
- 営業キャッシュフローはプラスであればあるほどいい
- 営業キャッシュフローがマイナスの場合は早急に手を打つ必要がある
以上です。
とりあえずざっくり営業キャッシュフローとは何か?を理解していきましょう!
細かい内容は中心の内容を理解してから少しずつ深めていけばOKです!
営業キャッシュフローの計算方法については今後の記事でまとめていきたいと思います。
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