売上高人件費率とは?計算方法や業界平均、改善方法までわかりやすく解説!

今回は売上高人件費率について!

会社にとって、社員やアルバイトの人件費のコントロールは重要な課題です。

利益を上げるためには、人件費をうまく活用し、売上を増やしていく必要があります。

そのための指標となるのが売上高人件費率です。

この売上高人件費率に関して

「売上高人件費率って何?」

「高い方がいい?それとも低い方がいいの?」

「平均ってどれくらい?」

「改善する方法は?」

こういった疑問を1つずつ解消していきます!

売上高人件費率とは?

売上高人件費率とは、会社の売上に対する人件費の割合のことです。

簡単にいうと、

「会社が〇〇円の売上を上げているけど、その売上を上げるために人件費はどれくらい掛かったのか?」

ということを表す経営指標です。

人件費は、売上原価と販管費(販売費及び一般管理費)に含まれます。

売上原価と販管費は、どちらも営業利益を出すために売上高から差し引く項目です。

そのため、売上高人件費率と売上高営業利益率は密接に関係しています。

売上高人件費率が高い場合は、会社が人件費を多く掛けて売上を上げていることを表します。

そのため、人件費が会社の収益を圧迫しているという見方も出来ます。

一方で、人件費率が小さい場合は人件費をあまり掛けずに売上を上げていることを表します。

一見、売上高人件費率が少ない方が良さそうですが、少なすぎる場合もデメリットがあります。

なので、一概に低い方が良いとは言えないのが難しいところです。

そもそも人件費って何を指す?

そもそものベースとなっている人件費を確認しておきましょう。

人件費とは、人の労働に対して支払われる費用のことです。

人件費は、社員やアルバイトの給料だけではありません。

この人件費に含まれているのは、

  • 従業員への給与(社員・アルバイト等)
  • 賞与(ボーナス)・一時金
  • 各種手当
  • 退職金費用
  • 法定福利費
  • 福利厚生費
  • 役員報酬

などです。

意外にたくさんありますよね?(笑)

売上高人件費率で使う人件費には、これらが含まれています。

計算方法は?

売上高人件費率の計算方法はとても簡単です。

売上高人件費率(%)=人件費÷売上高×100%

例えば、売上高が1億円の会社で人件費が1,000万円なら

売上高人件費率=1,000万円÷1億円×100%=10%

ということです。

平均はどれくらい?

この売上高人件費率は業種によってもビジネスモデルによっても目安の数値は大きく変わります。

業種やビジネスモデルを考慮せずに

「売上高人件費率の平均はこれぐらい。」

という目安は全然役に立ちません。

業種別の平均でいうと例えば

飲食業:30~40%
⇒ラーメン屋や寿司屋も平均30%台です。

小売業:10~30%
⇒コンビニは平均10%台と意外に低いですね。

サービス業:30~60%
⇒マッサージ業などは50%台、介護業は65%前後など圧倒的に高いです。

サービス業は小売業(コンビニなど)と違い、人のスキルやサービスを売っています。

そのため、物を仕入れて売る卸売業や小売業に比べると人件費の割合は高くなります。

こう見ていくと業種によって本当にバラバラですね(笑)

参考にするなら、同じ業種の同業他社と比べて自社の人件費率がどうかをチェックしましょう。

同業他社よりも高ければ、高くなっている原因を見つける。

逆に同業他社よりも低ければ、人件費を抑えられている要因を見つけて把握しておく。

あるいは、自社の過去10年の売上高人件費率の推移をチェックして増減の要因を分析する。

こっちの方がただ平均値や目安を知るよりもはるかに有意義な分析が出来るはずです。

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高い方がいい?低い方がいい?

素人感覚で考えると、売上高人件費率は低い方が利益も増えるので良い気がしますよね!?

しかし、前述したとおり、人件費率は一概に低い方が良いとは言えません。

会社の売上やビジネスモデルに応じて最適な売上高人件費率にしていく必要があります。

高すぎる場合でも、逆に低すぎる場合でも、以下のようにデメリットが生じてきます。

売上高人件費率が高すぎる場合のデメリット

売上高人件費率が高すぎる場合に実際の会社やお店がどうなっているかと言えば、例えばこんな感じです。

①お店にはアルバイト2人がいれば、十分お客様対応が可能なのに4人もいて、暇を持て余している。
⇒店の混雑具合に合わせてアルバイト配置をせずに、アルバイトの希望通りにシフトを組んでしまっている。
②社員がたくさんいるのに一人当たりの売上高がかなり低い。
⇒社員数に見合った売上が上げられていない

このような場合は、会社の売上に対して、人員過剰なので会社の利益を思いきり圧迫してしまいます。

売上高人件費率が低すぎる場合のデメリット

売上高人件費率が低すぎる場合もデメリットがあります。

そういう時の会社やお店の状態はこんな感じです。

①社員がこなすべき業務が大量にあるのに、アルバイトを削減している。
そのため現場に出る時間が多すぎて仕事が終わらない。
⇒社員がストレス過多になり、離職率が上がる可能性大。
②本来お店にアルバイトが3名はいる必要がある時間帯に、1名しか配置しておらず、レジでのお客様対応が間に合っていない。
⇒お客様の待ち時間が長くなり、商品を購入するのをやめるお客様が出てしまい、売上機会を逃している。

このような場合は人件費節約により、一時的に利益はその分増えますが、社員の離職率増加や本来得られたであろう売上機会を失って、将来売上が落ちてしまう可能性が高いです。

このように売上高人件費率はその会社にとってベストな数値を算出し、その前後に収める努力が必要です。

売上高人件費率を改善するには?

売上高人件費率はただ減らせばいいのではなく、改善して最適化することが大切です。

自社の売上高人件費率が同業他社と比べて高い場合や低い場合はその原因(要因)を見つけ出しましょう。

ただ数値だけを見てもわからないことも多いです。

疑問に思ったら、現場に何度も足を運び、社員やアルバイトの働きぶりを観察することで様々なヒントを掴めるはずです。

売上高人件費率の改善方法としては、例えば

  • お店の混雑度合いに合わせて人件費の掛け方を調整する。
    ⇒忙しい時間はアルバイト人員を増やし、暇な時間は減らすようにシフトを調整する。
  • 社員一人あたりの生産性を高める。
    ⇒社員一人当たりの売上高が上がれば、相対的に売上高人件費率が下がる。

簡単な改善策で言えば、こういったことが挙げられます。

社員の評価制度に売上に対する成果報酬の要素を加える。

あるいは、会社負担で能力向上につながるセミナーに参加させ、長期的に一人当たり売上高を上げる企業努力をすることも必要かもしれません。

よくやりがちですが、アルバイトのシフトを作成するときに、お店の忙しさを考慮せずに、過去に作られたルールに則ってシフトを作ることも無駄な人件費が掛かってしまう原因になるので一度見直してみましょう。

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