総資産回転率とは?目安や計算式、総資産利益率(ROA)との関係までわかりやすく解説

B!

今回は総資産回転率について!

経営を安定させ、効率よく行うには、経営状態をあらゆる視点で客観的に把握する必要があります。

そのための重要な指標の1つに総資産回転率というものがあります。

名前自体は聞いたことがあっても、

「総資産回転率っていったい何??」

「どうやって計算するの?」

「総資産回転率は高い方がいいの?目安は?」

「数値を改善するにはどうしたら?」

こんな疑問を持っている方が多いと思います。

今回はその疑問を1つずつ解消しながら

「総資産回転率ってこういうものだよ」

としっかり理解してもらえるように解説していきます!

総資産回転率とは?

総資産回転率とは、

「その事業年度において、会社が保有している資産をどれくらい効率的に使って売上を上げているか?」

を表している指標です。

売上高と資産の関係に着目した、経営の効率性を分析する指標の1つ。

基本的に会社が事業に投資した資産(工場・機械の設備、商品など)は売上によって回収されますよね?

総資産回転率の数値が高い程、

「企業は持っている資産を効率的に売上に結びつけている」

ということになります。

企業が持っている資産の中で本来、直接売上に結び付くのは、商品の在庫などの棚卸資産ですよね?

でも、総資産回転率は在庫だけでなく、工場などの会社が保有している全ての資産が直接売り上げに結び付くと仮定し、

「売上高がその総資産の何倍あるか?」

を表します。

ちなみに会社の総資本(純資産流動負債固定負債などの総計)は、会社が保有している総資産(在庫・工場・売掛金など)と額が必ず一致しますよね?

なので、総資産回転率と総資本回転率は同じ意味です。

総資産回転率の計算方法は?

総資産回転率の計算方法はとても簡単です。

その会社の売上高を総資産で割るだけで出せます。

総資産回転率=売上高÷総資産

例えば、ある事業年度の売上高が10億の会社で、総資産が5億なら

総資産回転率=10億(売上高)÷5億(総資産)=2.0

ということになります。

総資産回転率、という名前であるため、総資産回転率=2.0の場合は

「2回転」

と言われたりします。

回転数が多い程、経営効率が良いということです。

回転数が多くなるためには、総資産が少なくて、売上高が多いという状態が必要です。

総資産回転率の目安ってどれくらい??

総資産回転率の目安は果たしてどれくらいでしょうか?

総資産回転率は利益に関しては考慮せず、売上高と総資産のみに着目しているため、業種や企業の大きさ、タイプによってかなり差があります。

大企業や高級品・高額な商品を販売するスタイルの会社(例えば不動産業など)は低くなりがち。

一方、薄利多売な小売業や卸売業は総資産回転率が高くなる傾向にあります。

総資産回転率の平均はだいたい1.0~1.1。

比較的総資産回転率が高い小売業・卸売業は1.7~1.8ぐらい。

逆に低くなりやすい不動産業は0.3ぐらいだったりします。

かなり差がありますね!?

そのため、

「自社の総資産回転率は一体どうなのか?」

をチェックをしたい場合は同業他社と比較する必要があります。

総資産回転率を改善する方法は?

総資産回転率を改善する方法は大きく分けて2つです。

総資産回転率=売上高÷総資産

でしたね?

なので、

  1. 総資産を増やさないようにしつつ、売上高を上げる
    ※計算式の分子を大きくする
  2. 現在の売上高を維持しつつ、不要な資産を減らしていく
    ※計算式の分母を小さくする

この2つの方向性があります。

1.の売上高を上げて総資産を維持するには、マーケティング・営業などで効果的な販売戦略を実施する必要があります。

2.の売上高を維持しつつ、不要な資産を減らす方法の方が代表的な改善方法です。

こちらの方が売上につながっていない不要な資産を売却したり、在庫を減らす工夫をするなど改善の余地が大きく、難易度も低いですね!

スポンサーリンク

ROA(総資産利益率)と総資産回転率ってどんな関係性?

最後に、経営指標として有名なROAと総資産回転率との関係を確認しましょう。

ROAは総資産利益率と言われ、

「会社が保有している全ての資産に対して、どれくらいの利益を出せているか?」

を表す指標で、非常に重要視されています。

ROAの計算式は

ROA(%)=当期純利益÷総資産
※当期純利益はなく、経常利益を使う場合もある

と非常に簡単です。

総資産回転率=売上高÷総資産

の式にとても似ていますよね!?

実はROAの式というのは

ROA(%)=(売上高÷総資産)×(当期純利益÷売上高

という式で出来ています。

売上高÷総資産=総資産回転率でしたね?

当期純利益÷売上高=売上高利益率という指標になります。

つまり

ROA(%)=総資産回転率×売上高利益率

という式になるのです。

ROAは総資産回転率に売上高利益率を掛けて算出できるということです。

つまり、総資産回転率を上げることが出来れば、ROAを高めることが出来る!

そのため、ROAを高めるためためにも、総資産回転率を上げることが大事になるのです。

合わせて読みたい関連記事!

会計を徹底的に勉強するメリット!会計を学ぶと圧倒的にビジネスレベルが上がる理由とは!?

ROEとは!?意味からROAとの違いまでわかりやすく解説!

自己資本比率とは?意味から分析の仕方までわかりやすく解説!

当期純利益とは?わかりやすい当期純利益の解説!

流動比率とは?意味から分析の仕方までわかりやすく解説!

最新の記事はこちらから