固定比率とは?意味から計算式、固定長期適合率との違いまで分かりやすく解説!

今回は固定比率について。

固定比率は、会社が持っている土地や建物を購入するために、

「どうやってお金を集めたか?」

をチェックする指標です。

貸借対照表の安全性の分析で使われる財務指標の1つ。

貸借対照表における安全性の分析には大きく分けて3つあります。

  1. 支払い能力
  2. お金の集め方と使い方のバランス
  3. お金の集め方のバランス

固定比率は、この内の

2. お金の集め方と使い方のバランスをみる財務指標です。

今回はこの固定比率について

「固定比率ってなに?」

「計算式は?」

「目安はどれくらい?」

「固定長期適合率との違いは?」

といった疑問を解消しながら、理解を深められるように解説していきます!

固定比率とは?

固定比率とは、会社の持っている固定資産と自己資本(純資産)を比較することで、会社の長期的な支払い能力を分析する際に使われる財務指標です。

貸借対照表

固定資産っていうのは、会社が持っている土地や建物、工場などのことです。

詳しくは
固定資産とは!?意味から各項目の内容までわかりやすく解説!

一方、自己資本(純資産)というのは、会社が調達したお金のうち、返済義務のないお金のことを指します。

例えば、資本金や利益剰余金(今までの利益の積み重ね)のことです。

詳しくは
純資産とは!?わかりやすい純資産の解説!

銀行からの借入金は返す義務のあるお金なので自己資本には含まれません。

そのため、固定比率は、

「会社が購入した土地や工場などが、返済義務のないお金でどれくらいまかなわれているか?」

を示しているのです。

固定資産に対する投資の回収には通常長い期間が必要です。

そのため、固定資産の購入を借金に大きく依存している場合は長期的に見て、借金返済が難しくなる可能性があります。

固定比率を見ることで、固定資産の購入に対する借金への依存度をチェックできるので、会社の長期的な支払い能力がわかるのです。

計算式は?

固定比率の計算式は簡単です。

固定比率(%)=固定資産÷自己資本(純資産)×100%

例えば、固定資産が1億円、自己資本が1億2千万円なら

固定比率=1億円(固定資産)÷1億2千万(自己資本)=83.3%

となります。

100%以下なら、固定資産より自己資本の方が大きいということになります。

100%以上なら、固定資産を自己資本だけではなく、借入金も含めて購入したと考えられます。

固定比率の目安はどれくらい?

固定比率は出来るだけ100%以内に抑えられるのが理想です。

固定比率が100%以下であれば、固定資産の購入を自己資本(純資産)で購入出来ていると考えられるので経営的には安全水準だからです。

ただ日本の黒字企業の平均は170%~180%です。

業界・業種によっても大きな違いがあります。

土地や建物などを多く所有する業種では固定比率は高い傾向にあります。

一方、形のない資産を販売したり、IT業界の会社などは固定資産をあまり持たないため、固定比率が小さいです。

有名企業の固定比率は?

固定比率を身近に感じるために有名企業の固定比率をいくつか見てみましょう。

※ざっくりの数値を出すために固定資産÷純資産で計算しています。
※2019年2月発表の決算数値を参考

  • ディズニーランドを運営しているオリエンタルランド:74.9%
  • マクドナルドホールディングス:92.2%
  • いきなりステーキで有名なペッパーフードサービス:357.3%
  • 食べログや価格.comで有名なカカクコムの固定比率:40.0%
  • ZOZOTOWNで有名なZOZO:98.7%

オリエンタルランドはあれだけ広大な敷地があるのに、70%台と非常に安定してます。

ペッパーフードサービスの固定比率が高いのは、いきなりステーキの店舗拡大による影響が大きいかもしれませんね。

カカクコムは店舗などが必要ないネットでのサービスがメインのため、固定比率が非常に少なくなっています。

有名企業の固定比率をいくつか見てみると、業界ごとにも会社ごとにも違いがあることがわかりますね!

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固定比率と固定長期適合率との違いは?

固定比率が100%を超える場合は特にですが、固定長期適合率もチェックするのがおすすめです。

固定長期適合率は固定比率と同様に、貸借対照表の安全性分析で使用される財務指標。

会社の長期的な支払い能力を分析する際に使われます。

固定比率との違いは、固定負債(しばらく返さなくてもいい借金)を加えるかどうかです。

固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100%

なのに対し、

固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100%

となります。

固定比率に固定負債も加味して、バランスをチェックする指標が固定長期適合率ということです。

簡単に言うと、固定長期適合率は

「土地や建物などの固定資産の購入を、自己資本と返済期間が長い借金でどれくらい賄(まかな)えているか?」

をチェックする指標となります。

自己資本に加えて、返済期間が長い長期借入金も含んだ合計額と固定資産を比べます。

そのため、自己資本と固定資産を比べる固定比率よりは100%以下になりやすくなります。

固定比率の黒字企業の平均が170%~180%に対し、固定長期適合率の平均は80~90%です。

固定比率が100%を超えていても、固定長期適合率が100%を切っている場合は短期的に資金繰りに苦しむ可能性は低いと考えられます。

なぜなら、借金を使って投資の回収に時間が掛かる固定資産を購入しても、その借金の返済期間も長いからです。

固定比率では357.3%と高かったペッパーフードサービスも固定長期適合率では、135%と比較的適正値に近い値になっています。

より会社の戦略や経営を分析するためには、固定比率だけでなく、固定長期適合率も合わせてチェックするといいでしょう。

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